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by tetsuyak

2001年11月23日(金),24日(土)
(祝) 西伊豆単独キャンプツーリング敢行!(奥石廊崎ツーリング)

★ついに単独行を実現させました。初めての奥石廊崎へ1泊のキャンプツーリングへ行ってきました。
最高のコンディションで単独行も安全なカヤッキングができました。すばらしい体験ができました。

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単独キャンプツーリング手記 <天気が味方してくれてラッキーだった。。。>
■思い立った理由------------------------------------

私がこの単独行を決行する想いを深めたのは,シーカヤックアカデミーでの海上保安庁の講師の方がおっしゃっていた『シーマンシップ』に関する一言からでした。

シーカッヤカーは一隻の船の『船長』ですから自分の行動には自分で責任をもって行動して欲しい。念には念を押して安全に気を配ってシーカヤックを楽しんで欲しい。かと言ってどんな些細な危険もおかしちゃダメだとは言いません。海の男たるもの多少の危険をおかすぐらいの冒険心も大切にしてください。

私はいつもスクールでのパドリングを楽しんでいて,自分だけで海に出るなんてとんでもないと思っていました。少し波風が出るだけでも恐いのに1人きりでなんて。。。でも『冒険心』と言われてハッとさせられました。単に冒険してみたいというのではなくて,自分で準備も行動も問題対処もやる,自立精神の問題を考えさせられたのです。
初心者パドラーである私は,たいていインストラクターに引率してもらうので,つい頼ってしまう自分に気が付きはじめていました。 それにパドルフロートレスキューのトレーニングを始めた時に『自分の悪い状況を自分で判断し対処しなければならない』ことの重要性を感じていました。
シーカヤックアカデミーで,素晴らしい講師陣からナビゲーション,パッキング,風と波と天候などの話を聞いてきましたが,これを実地で自分で試していかないと,わからないことが山ほどあるようにも感じ始めていました。そう思っているうちに『自分だけでキャンプツーリングをやってみていろいろな実地訓練をしてみたい,その中でシーカヤッキングをおもいっきり楽しんでみたい』と決心して今回の計画を立てはじめたというわけです。

■計画・準備をどうしたか-------------------------------

まず,行く場所をどこにするかですが,これはいろいろ検討したわけではなく西伊豆と決めていました。距離的にも遠くないし,西伊豆の一部にはインストラターに連れられて3度ほど行ったこともあり,地理的には初めてと言うわけでもなかったことが大きな理由です。もうひとつの理由はこの季節の天候です。伊豆半島は3方が海なので風や波の状況に応じて地域を選んで悪条件を避ける選択が可能だからです。この時期の伊豆半島は北東の強風が吹きやすいので,西から南伊豆エリアが条件としては良くなります。
ただし,少し冬型の気圧配置が強まると北の風または西の風が突然吹き荒れる状況にもなりやすいそうなので,西伊豆は要注意でもあります。少しでも不安な状況だったら中止することはもちろん,慎重に天候を見る必要がありました。

私の場合,まず,2週間ぐらい前から毎日天気図をチェックしました。風や波の状況を特に注意してチェックしました。この季節は短い周期で天気図が変わって風の状況も大きく変わります。たった1日で強い冬型の気圧配置に変わってしまうこともあるくらいです。1週間前からは毎日インターネットの天気図データを保管し,天候の動向をチェックしました。低気圧の動きをよく把握しておくことが重要です。だいたいオホーツク海に低気圧のある気圧配置で伊豆地方は北東の風か北の風でした。3日ぐらい前から,この冬型の気圧配置が崩れてきて,弱い高気圧が日本列島の上空に停滞しはじめ,風も波もない状況が少し続きそうでした。楽観はできませんがイイきざしでした。

そのような天候の状況で,行ったことがない場所でも何とかなりそうだったので,買い込んで来た西伊豆エリアの2万5千分の1の地形図とインターネットの観光案内などとにらめっこして,パドリングエリアは,奥石廊(仲木港出発)を第一候補に, 次に妻良(めら)湾を第2候補にしました。奥石廊は変化に富んだスケールの大きい海岸の風景が良さそうでしたのでぜひ行ってみたい場所でした。妻良湾は入江が大きいので,風波が強くても少しは安心できるからです。マピオン地図1(千畳敷・入間〜仲木〜大根)   マピオン地図2(妻良〜吉田〜千畳敷・入間)

装備などの準備もしなくてもなりません。
本来ダブルシート使用のクロンダイクをソロシートアレンジで乗るわけですから,当然カヤックの中には空きができます。浸水した時に備えて,まずは持っていなかった『浮力体』をバウとスターン用に2個購入してきました。これは夏のツーリングの時にご一緒していただいたTO-BEさんに教えてもらったことでした。
他の装備はだいたい揃っています。食料は軽さをとってフリーズドライのキャンプ用雑炊を3パック用意しました。2日前にほぼすべての装備を家の中に準備しました。

2日前でも天候はイイ状態が続きそうでした。場所は奥石廊として,予定としては仲木港からキャンプ道具も全て積み込んで出発して奥石廊をぶらぶらしてキャンプ地を探し,キャンプして翌日午前中に出発地に戻って終了という予定とすることに決め,必要な部分の地形図を貼り合わせてマップケースにうまく入るようにしておきました。特に細かいコースなどは決めずに,あれこれ想像するにとどめ,あとは現地に行ってその場の状況に応じて判断すべきと考えました。

■いざ,出発。そして到着。。。-------------------------------

あいにく前日が名古屋出張となってしまい,帰宅したのが11/22(木)夜の9時。
出発準備をして夜中に出発です。荷物を車に積み込んで準備を確認し,最後にインターネットとテレホンサービスで天気図のチェック。どうやら,あいかわらず弱い高気圧が近畿・中部地方に停滞し最高のコンディションになりそうです。油断は禁物ですがラッキーです。

ワイフから無理しないよう釘を刺され,朝ご飯のお弁当(感謝!)を受け取って車で12時ごろ出発。初めての単独行の不安と緊張で,全然眠くなく運転できました。今はカーナビがあるので初めての所でも道に不安を感じることがなく,非常に気分的な気疲れなしで現地に向かえるというのも重要なポイントだと思いました。真っ暗なAM4時すぎに出発地に予定していた仲木港に到着しました。思ったより小さな入江で港も小さい所でした。

真っ暗な中で,まず入江のチェックです。
な,なんと,港の岸壁に『ジェットスキー・カヌー禁止』と大きく書かれているではありませんか!ガックリです。初めての場所なのでしょうがないのですが,地元の方々とのトラブルはゴメンですので,キッパリとあきらめて,他の港へ行ってみることにしました。地図でチェックして,ひとつ北側の入間港へ車で行ってみることにしました。

入間港に着くとまず『カヌー禁止』なんて書いてないかをチェック。大丈夫そうです。しかもココは漁港の脇に50mぐらいの浜がありました。荷物も簡単に浜まで下ろせそうです。ほっとして公衆トイレの近くに車を止めて,車内でブランケットに包まって仮眠を取ることにしました。雲ひとつない満点の星空を仰ぎながら,携帯で海上保安庁の海況情報と気象情報を聞き,天候状況に変わりないことを確かめてから眠りました。
 

■出艇準備!-------------------------------

目がさめるとAM7時でした。すでに明るくなっています。3連休で磯釣り客の車がたくさん来ていました。お弁当の朝食を車の中で食べながら,港の状況を観察です。天候は最高です。雲ひとつなく風も波も全くありません。
食べながら観察して非常に非常に気になったのは,釣り客を載せた漁船がひっきりなしに港に出入りしていることでした。入江の出口には2メートル以上もありそうなテトラポットと堤防がクランク状に配置されていて,入江の出入りはかなり危険そうです。
漁船の出入りが多いので,地元漁民の方々とのトラブルも心配です。出艇準備をする前に地元の方に挨拶しておいた方が良さそうだと判断し,作業をしていた方々に挨拶してから「今日ここからカヤックを出したいんですが,何か問題はありますか?」と聞いてみました。地元の方は少し変な顔をしましたが丁寧な口調で「お客さんがすることには口は出せないけど,あまり好まれないですよ。船を運転するのにやっぱり恐いからね」と言われてしまいました。でも相手の方の言っていることも当然わかりますので「船には絶対に近付かないように気を付けます。」と挨拶しておきました。こういう時に冷たくされたりすると辛くなってしまうのですが,そんなに冷たい感じではなかったのでホッとしました

さあ,出発準備です。
 

まず,クロンダイクの組立です。3回目なのでやり方はだいたい分かっていますが,やっぱり大変でした。何せ今まではワイフと2人で準備していたのを全部1人でやらなくてはなりません。フーフー言いながら非常に苦労して組み立てました。シートやら何やらの細かい艤装品がまた大変なんです。非常に時間がかかってしまって,1時間半ぐらい組立にかかってしまいました。

カヤックに積み込む装備品の準備にも手間取ってしまいました。ある程度考えながら防水バッグに荷物を詰め込んで準備していきましたが,これまた30分以上もかかってしまいました。今回は二人分持っている防水バッグを全部持ってきました。これは,いっぱいにならない程度にザクザク入れて小さめにまとめた防水バッグを数多く持つ方がカヤックに積み込みやすいということが分かってきたからでした。

パドリングジャケット,パンツ,シューズに着替えて,さて準備完了です。
 

ところが,ところが,これからがヘトヘトでした。バタフライカートを組み立てて,クロンダイクを載せて,浜まで引っ張って行くことでゼイゼイしてしまいました。加えて,防水バッグや10L水タンク,パドリング装備などを運んで砂浜を往復して歩いているうちに汗だくになってしまい,改めて1人の大変さ(ワイフのサポートのありがたさ)を実感してしまいました。
 

何はともあれ,準備がほぼ整いました。慌てず,タバコでも吸いながら休憩しつつ,もう一度準備や装備品のチェックです。自分では,慌ててミスをしないように気を付けたつもりでしたが,コンパスを付け忘れて荷物の奥底にしまい込んでいたりして数多くのミスをしていました。今回は天気が良さそうでしたので,コンパスを取り出すために荷物を積み直すのは止めてそのままコンパス無しで行くことにしました。うーん,やっぱりまだまだ修行が足りないんですね。

地図を見ながら,今日のコース取りを検討しました。天候は,停滞している弱い高気圧のお陰でイイ状況のようです。少し気になったのは,南よりの南西の風に変わったことでした。弱い風なのでこの南西向きの海岸地帯では問題にはなりませんが,石廊崎まで廻ってしまうと東へ抜ける風が強まって少し危険かもしれないと予測し,イイ天気ですが予定通り奥石廊崎から南へは行かずに,Uターンして戻ってきて,沿岸を北へ向かうことに決め,出発することにしました。

Uターン地点の『大根』を越えて小さな島が入り組んでいるところまで約5kmです。

すでに陽は高くなって,AM10時を廻ってしまっていました。
まあ,独りだし,行かなきゃいけないところがあるわけでもないからノンビリ行こう,と独りでふらり漕ぎ出していきました。
 

■入間港を出発-------------------------------

浜から漕ぎ出しましたが,入江の中でも緊張して気が抜けません。漁港の脇ですから,出入りする漁船には注意に注意を重ねて,浜の前の海上でウォーミングアップしながら様子見です。

まず,漁港の中が見える場所で待機して,左の写真前方のテトラポットの向こう側から廻っていきなり港に入ってくる漁船のエンジン音がしないか耳をすまして一気に突堤の向こう側へ漕ぎ出ます。次に向きを180度変えて,今度は港の中から出てくる漁船のエンジン音に注意して,一気に南側へ抜け出ていくわけです。
 

左の写真は,まず手前の右に伸びている突堤の向こう側へ一気に漕ぎ出た所です。
そして右の写真は,回れ右をして左手の巨大なテトラポットを見ながら一気に南側へ抜け出ようとしている所です。
 

素晴らしい天気です。
南東へ向かうので陽射しが眩しいくらいです。周りは,ため息がでるくらいの美しい光景です。
左の写真は入間港を出て沿岸を南に向かって500mぐらいの所の最初の小島です。お椀を伏せたような岩山のてっぺんに小さな岩が固まりになってのっかっていて,私はすぐ『おっぱい岩』と命名しました。右の写真はこの『おっぱい岩』のところで後ろを見たところです。

この辺りは岩礁が多くて,隠れ岩がありそうだったので,眩しい中,前方に注意してゆっくりと進みました。クロンダイクは,荷物も積んでいますから,独りでのパドリングはやっぱり重いです。また,独りで乗るとどうやら吃水が浅すぎるらしくて,漕ぐ時に左右にローリングが激しく,座っているシートの位置の偏りのために,左側に傾いてしまったまま漕いでいました。(写真をよく見るとバウが傾いている写真が多いことがわかりますか?)
 

大きな断崖の海岸が続きます。この辺りは海岸に平地がないので人工物がほとんど見えないことが景観を美しく見せています。
少し行くと大きな「君掛根」という小島があります。

後ろを振り向くと入間港のある海岸線から西に突き出した三ツ岩岬,その手前の千畳敷が見渡せます。白く見える岩肌は砂岩でしょうか。そんな遠くの崖を望むとあっちの方も絶景に思えてきて,あちらへも行ってみたいと強く思ってしまいました。
 

「君掛根」と海岸の間を抜けて更に南下していきます。この辺りから,岩礁の多い素晴らしい風景が奥石廊まで続きます。

この季節ですから海の色は青くはありません。その代わりに抜けるような深い緑色の透明な水です。深い緑色と水面の陽の反射がコントラストの強い眺めを創り出しています。波もほとんどないので海底の海草や魚たちがきれいに観察できます。水中を眺めているとその透明さに吸い込まれてしまうようで少し恐いくらいです。

高い崖で切り立った小島が連なっていて,小さなシーカヤックで間を抜けて,漕ぎ行きながら見上げると絶景です。太陽も眩しくて岩肌のシルエットを際立たせます。
 

岩場のイイ風景の中を少し漕いで行くと,もともと出艇予定地に考えていた「仲木港」のある入江に差し掛かります。前方遠くに見える右側の島が目指す「奥石廊」のシンボルとも言える『大根』です。

あまりにも素晴らしい光景で,カメラを横にしても縦にしても,写真では表現できないスケールの大きなシーンが続きます。

  

  
 

■仲木港を通過-------------------------------

さあ,仲木港の入江を横断します。また,漁船の出入りを気にしながら注意して一気に漕いで渡りました。
右の写真は渡りきって,もう大根のすぐ近くまできています。


 

左の写真は大根に居る「猿」を撮影しました。からだの色が岩肌と似ているのでよく見ないとわかりにくいのですが「観光地の猿」って感じで,カヤックで近付いていくと物欲しそうに寄ってきます。

この辺りは奥石廊の観光遊覧船が来たりするので,狭い水路では要注意です。実際,この写真のすぐ脇には,船着き場があって,大根に観光客を連れてきていて,少し恐かったです。

ここは常に周りに気を配る注意が必要ですが,狭い水路が多く,カヤックでフラフラすると実に楽しいところでした。
 

小さな浜の手前に洞門があります。そろそろと近付いていって,くぐろうとしましたが,ハルを岩に擦りそうで,下まで行って止めておきました。

海上から見た紅葉も素晴らしい色合いでした。

さあ,ついに奥石廊まで辿り着きました。ここを越えて行くと,すぐに大平洋の波が洗う石廊崎です。岬付近まで出てくると,やはり弱いながらも南風のうねりが来ていました。ココから先の石廊崎は,これまたすごいところらしくて行ってみたい気もしましたが,予定通り戻ることにしました。右の写真は,最南端到達点でセルフスナップ。頭にかけているのは「コスタデルマー」のハイドロゴーグルです。今回初めて使ってみました。今回は風も波もほとんど無かったので普通のサングラスでも問題ないのでしょうが,風波があって必死に漕ぐ時にはイイかもしれないと感じました。
 

■最南下地点を折り返し-------------------------------

折り返して,仲木港方面に戻ります。

素晴らしい景色です。

もう,何も言うことはないでしょう。。。

今回は初めてフェザークラフトの4ピースFRPパドル『コーモラント』をメインパドルとして使いました。スペアパドルとしてスモールフェイスの「フリッカー」をバウデッキに置きました。「コーモラント」は感じはいいんですが,今回のように1人で重いカヤックを漕ぐ時には「フリッカー」の方が良かったかもしれません。あまりにも『重い』感じで,負荷が高かったので,けっこう疲れました。フリッカーの方が,加速力は弱くなるかもしれませんが,腕への負荷は少ないはずです。
 

仲木港の手前の小さな浜に上陸して,お昼の休憩を取りました。12時半過ぎでした。
ここはいいエスケープポイントになります。ただし,1人で荷物を積んだクロンダイク号を浜に引き上げるのは大変ですし,ハルを引きずるのもイヤな感じがしました。フェザークラフトの船体布は非常に強度があって,多少引きずっても問題にはならないのですが,あまり気分がいいものではなく,何とかしたいものです。
携帯でワイフに電話。「無事だよー。すごいいいところだよー。」と電話してワイフを羨ましがらせておいて,お昼を食べました。朝のお弁当の残りと菓子パンを1個です。思った以上に暑くて既に水分をかなり補給していました。水のペットボトルが既に2本空いていました。残りは1本しかないので,10L水タンクからペットボトルに水を詰めて用意しておきました。
30分ぐらい休憩してから,また出発です。右側の写真を見るとわかりますが,漁船がすごい勢いで入江に入ってきたりします。やっぱり要注意です。入江の中央部へ出るのは避けて,岸沿いの岩の間のルートを探しながら,進むことにしました。そろそろとゆっくりとしか進めませんが,やっぱり安心ですし,細い水路で,あれこれ繰船するのも楽しいものです。
 

「君掛根」まで戻ってきて,少し周りを廻ってみると洞窟があったので入ってみました。以外と大きな洞窟でビックリしながら漕いでいくと,アリャ,向こう側に出たところで岩場に阻まれ前進できず,Uターンして戻るはめに。

でも,こういった『未知の場所』を漕いで行くことの楽しさを実感しました。もちろん危険かもしれないので十分に注意しながらですが,ひとつひとつのコース選びにもワクワクするような楽しみがありますし,『あの岩影を廻ると先にどんな光景があるんだろう』という好奇心と発見に満ちています。

洞窟の出口の向こう側には,出発地である入間漁港の入江の辺りが見えています。
 

■入間港を越え,千畳敷へ向かう-------------------------------

君掛根を過ぎ,海上で休憩しつつ,この後のコースを検討。来た時のように岸沿いに入間漁港まで戻り,そこから先に漕いで行くことにするか。。。

ここで,今日のキャンプ地についても考えはじめました。最悪は入間港まで戻ってくればキャンプはできますが,他にもいいところはないものか。。。ここまで漕いできたところでは適当なキャンプサイトはありませんでした。地図を見ると,入間港を越えてずっと先まで行っても当面危険そうな場所はありません。おまけに全くのなぎ状態です。あの千畳敷の先の岬を廻って行くのであれば,入間港に戻る必要はないので,思いきって,千畳敷のある岬方面へ,最短距離で漕いで行くことに決めました。これだけ凪いでいれば,漁船からも見えにくいということも無さそうです。漁船が近付いてこないかキョロキョロしながら1.5kmぐらいをまっすぐ漕いで行きました。右の写真は,千畳敷のかなり近くまで漕いできたところです。
 

千畳敷付近は白い砂岩の断崖で,こうやって写真で見ると大したこと無いように見えますが,カヤックから見上げると非常に迫力がありました。

このあたりの岩場には3連休ともあって,釣り人が鈴なりに。ということは漁船もひっきりなしに来るということですからヒヤヒヤものでした。それに岩場に近付くためには,釣り糸に気を遣わなければなりませんでした。釣り人は隣の釣り人とお互いの仕掛けが邪魔にならないように,微妙な距離を置いて立っていることが多いので,思わぬカヤックの割り込みに迷惑そうな感じでした。とは言っても,漁船が釣り客を乗せて岩場に近付いてくるので,沖側は非常に恐い感じがしましたので,浅い岩場を『スミマセン』という顔をしながら,しずかーに漕いで行きました。
 

千畳敷を越えて,三ッ石岬を廻って行くと,またまた大きな景色が目に飛び込んできました。前方に見えるのが2.5kmぐらい先の『吉田』という集落です。岬になっているところが「二十六夜山」という趣のある名前の着いた山の断崖です。そこからは妻良港に近い「サントウ岬」まで3kmぐらい全くエスケープポイントの無い絶景の区間らしいです。

とにかく吉田までの間には小さな浜がいくつもありそうだと判断し,キャンプ地を探しながら,のんびり漕いで行くことにしました。吉田まで行ったとしても,入間漁港まで戻るのに5kmぐらいの距離だから,何かあったら戻ればイイと考えました。岸は西向きになっていて高い崖のお陰で南風が吹き抜けず,プカプカ浮いてのんびりタバコを吸ったりして風景を楽しみました。

のんびり漕いで行くと1ケ所小さな入江になったいいキャンプ地があったのですが,先客のテントが。。。しばらく様子を見ていましたが,人が出てくる気配もなく,そこは諦めることにしました。アラスカでは,先にキャンプしているパーティがいる場合,そこから見える範囲にキャンプをするのは避ける,というマナーを聞いたのを思い出しましたので,あえて小さな浜に私もお邪魔するのはやめておきました。
 

■キャンプ!-------------------------------

吉田の少し手前に,手ごろな浜を見つけました。海岸では沼津から来たと言う2人のシーカヤッカーにお会いしました。「今日はいい天気ですねえ」とお話ししました。彼等は北側の妻良港から南下してきたそうです。彼等もさっきまで昼寝していたという話を聞いて,この浜でキャンプすることに決めました。ココならば,もし急に風波が強くなってカヤックを出せなくなっても,岸沿いになんとか吉田の集落まで歩いて行けそうでしたので,緊急の場合のことも考えて決めました。

石がゴロゴロしている浜を引きずってクロンダイクを引き上げるのはイヤだったので,いいアイデアを思い着きました。カヤックを降りてから,積んでおいたフェザークラフトの『バタフライカート』を組み立てて,海中へ沈めてクロンダイクの下にセットします。ベルトでカヤックとカートを固く固定しておいてから,バウを引っ張って,浜へクロンダイクを引っ張り上げました。荷物を積んだままだったので,バタフライカートのタイヤが浜に埋まって倒れそうになりましたが,ハルを全く擦らないで引き上げに成功しました。ひとりでも工夫すれば何とかなるモンだなと大満足です。写真ではわかりにくいのですが,クロンダイク号はカートに固定して乗せたままロープで係留してあります。
 

荷物をカヤックから降ろして,テントを設営しました。夕陽で辺りが赤く染まってきていい感じです。右の写真いいでしょう。。。海を眺めつつ,350mlのペットボトルに詰めてきた『ラム酒』を飲んで,読み終わりそうだったA・ランシングの『エンデュアランス号漂流』を読みはじめました。うーん,この単独行のお供の本としては最高の組み合わせです。しかもこの本は最高に面白いです

夕飯を作って食べましたが,暗くなってから急激に気温が下がり,寒くて寒くてどうしようもなくなってきました。そこで,外でたき火をして暖を取ることにしました。輝き始めた満天の星空を眺めつつ,ラム酒を飲み,ライトで本を読み続けました。ラム酒は体が暖まって寒い時期のキャンプにはぴったりです。紅茶に入れて飲むと体がすぐにポカポカ暖まってきます。

酔っぱらってきた後は,テントに入り寝袋にもぐり込んだら,疲れで寝込んでしまいました。ハッと目がさめたらまだ2時間ぐらいしか寝ていませんでした。まだ片付けをしていませんでしたので,あわててテントの外に出て,満潮でもカヤックが流れないようにロープをかけてあるのをもう一度確認し,猿が来ても大丈夫なように,装備などを全てテントに運び込んでおきました。風や波の状況も変わっていないようです。携帯でテレホンサービスの海況と天気予報を確認しましたが,明日もいい天気が続くようです。

もう一度,寝袋にもぐり込んで「エンデュアランス号漂流」の続きを読み,最後まで読み終えました。今の自分の独りきりの気持ちが,エンデュアランス号遭難の苦難の記録に想いを寄せる想像力を刺激して,非常に感動してしまいました。こういった旅先での1冊というのはイイもんです。

風の音もしない,波の音だけが静かに物語を語り続けているのを聴いているかのような夜でした。
感慨に浸りながら,満ちてきた心地よい疲労感の中で眠りについていました。
 

■翌日,帰還。そして後片付け-------------------------------

翌朝は,気持ちよく目がさめました,と言いたいところでしたが,夜明け前から辺りを行き来する釣り人の足音や話し声で起こされてしまいました。まあ,お陰で早起きできました。朝食を作って食べて,朝から『ラム酒』で身体を暖めて,ゆっくり片付けはじめました。今回は雨に濡れたりしていないので,テントなどの片付けも簡単です。

今日はまっすぐに入間港へ帰ります。お昼までに下田に行って,ワイフと合流して,午後からいつものキャックスクール受講の予定です。朝,8時前には,キャンプ地を撤収して,浜を出発しました。またまた,漁船が釣り人を乗せて,ひっきりなしに岩場へ近付いてくるので,非常に気を遣いました。最初は岸ベタばっかりでもなんだからと思って,沖出しして漕ぎはじめたのですが,遠くからすごいスピードで近づいてくる漁船が気になってばかりいたので,ついには方針変更して,また岸ベタで行くことにしました。まあ,その分,休憩しつつゆっくりと漕いで行きました。風も波も穏やかで陽射しが眩しい天気です。
 

入間港に戻ってきました。また,バタフライカートを使ってクロンダイク号を引き上げて,もうめんどくさいので,荷物を積んだまま,駐車場まで引っ張ってきました。今回はフェザークラフトの『バタフライカート』が大活躍です。これが無かったら1人では非常にきつかったでしょう。

荷物満載の重いカートを引っ張っていく途中で,ヘトヘト状態になり,自販機でファンタグレープを買ってグイっと飲みました。これがまた,甘くてなんて美味しいんでしょう。。。単純にその爽快感に感動です。

タンクの水で船体布を軽く水洗いしてから,船をたたみました。

たいへんでしたが,単独行をやり終えた充実感で気持ちも晴々として気合いで片付けられました。
完了です!!!
 


今思い出しても非常に貴重な体験ができました。
なにより,すべて自分だけでやり終えたという達成感が生まれました

もちろんミスもたくさんありましたし,それは次回への勉強と思っています。今回は,天候条件があまりにも良すぎました。ラッキーだったわけで,自分だけの力とはいえないかもしれません。ただ,臨機応変にリスクを判断して,自分の行動を決めていくという自覚の芽生えはあったかな,と満足しています。
だって,まだ初めてですから。。。もっともっと経験を踏んでいくことですネ。

●後で思い起こしてみて,気づいた大きな反省点は,携帯電話の予備バッテリーを持っていなかったことと,薬などのファーストエイドキットを持っていなかったことです。何かあった時の連絡や治療の手段は,何がしかの準備が必要だと思いました。

次回が楽しみです。

 

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